1 道子さんが先生に(1)

 道子さん、いよいよ4月から小学校の先生ですね。

 卒業旅行をかねて、英語の勉強に出かけたロンドンで、おじいさんの危篤の連絡をうけ、取るものも取り敢(あ)えず帰国した道子さんを、おじいさんは待っていてくれませんでした。
 その今は亡きおじいさんも、草葉の陰で、道子先生の誕生を喜んでいることでしょう。

 ミッチャンのおじいさんも私も、現職の頃、学校教育の困難さをいやというほど味わいましたので、おじいさんは常々、ミッチャンのお父さんには先生になって欲しくないと言っていました。

しかし、ミッチャンのお父さんは高校の先生になり、そして、ミッチャンまでもが先生になるのですから、おじいさんは、「困ったもんだ」と言っていることでしょう。だがしかし、心の中の本音では、

 「ミチ先生になってくれてありがとう。がんばれよ」

と、天国でエールを送っていることでしょう。


 ミッチャンのおじいさ んが、私のことを、「HIDEオジン」と呼んでいたのを、ミッチャンは略して、「オジン」と呼ぶようになりました。
 「オジンからのラブレター」は、その「オジン」から、道子先生への応援メッセージです。

 オジンにとってミッチャンは、実の孫と同じぐらい大事な子です。
 今は亡きおじいさんとオジンが一杯やっていると、ミッチャンは、猪口とリンゴジュースをもって、おじいさんの膝に入り、オジンに「ジュースを注いでくれろ」とせがみました。
 おじいさんとオジンが、いじめの問題とか、不登校のこととか、学級崩壊・学力低下・規範意識の欠如、体罰・問題教師、保護者のクレームなどについて談論風発、長々としゃべりまくっているのを子守歌にしながら、眠ってしまったことも一再ならずでした。

 そんなミッチャンが、もう先生になるのですから、オジンがよたよたしているのも無理のないことですね。
よたついているとは言え昔取った杵柄(きねづか)、ミッチャンの応援団長を務めますのでよろしく。

                                 

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