2 結構やんちゃなミッチャン

 ミッチャンは、忠恕(ちゅうじょ)すなわち思いやりを心に秘めていおり、とても優しいのですが、きかん気も人一倍つよい。
 それはミッチャンのプチ家出でも分かります。
 ミッチャンが唯一家出したのは、男子高校生ばかりのバンドのキーボードをやるとか、やってはいけないとかで、ミッチャンがお父さんともめたときでした。
 ミッチャンのお父さんは、ミッチャンのことはお母さんやおばあさんに任せっぱなしで、ほとんど口を出しませんでしたが、バンドのことは頑として許してくれませんでしたね。
 ミッチャンのおじいさんから、「ミチが家出したので、オジンのところへ行くと思うが、行ったらよろしく」と電話が掛かってきたときにはびっくり仰天しました。

 「ミチのことだから、オジンの家に行くか、夕ご飯を食べずに出て行ったから、コンビニでおにぎりでも買って、すまして帰ってくると思う。しかし、30分経っても行かんかったら連絡してくれ」と言うおじいさんの電話を切って、10分もしないうちに、ミッチャンが現れたときには、本当にホットしました。          

 ミッチャンは、お父さんとトラブって家を飛び出すような、結構やんちゃなところがありましたね。

 それと
 ミッチャンに一番驚(おどろ)かされたのは、なんと言ってもオートバイ事件です。

 フルフェイスのヘルメットと革ジャンで、中古のヤマハ125CCを駆って(かって)きて、「オジン、じいちゃんには絶対に内緒だからね。もし、裏切ったら絶好だから」と、オートバイを預けていったミッチャン。

 おじいさんから猛反対をされていたにもかかわらず、小遣いとバイトのお金を貯めて、中古のヤマハを買ったミッチャンのしぶとさには、開いた口がふさがりませんでした。

 ミッチャンには言いませんでしたが、早速おじいさんに報告したところ、「わしは知らんことにしておくから、迷惑だろうがしばらく預かってやってくれ。事故にあったり、悪い仲間に巻き込まれたら、ミチの運命だとあきらめるよ」とのこと。

 たとえおじいさんには反対されても、どうしてもやりたいことはやり遂げる、見かけによらず頑固なミッチャンのやんちゃぶりには、はらはらさせられたことが何度もありました。

              

 

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